“資人(とねり)” の例文
此辺から右京の方へ折れこんで、坊角(まちかど)を廻りくねりして行く様子は、此主人に馴れた資人(とねり)たちにも、胸の測られぬ気を起させた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
出鼻を油かけられた資人(とねり)は、表情に隠さず心の中を表した此頃の人の自由な咄し方で、まともに鼻を蠢して語つた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちよつと出る旅にも、大きやかな箱に納めて、一人分の資人(とねり)に持たせて行つたものである。其魂の書物を、姫の守りに留めて而も誰にも話さなかつたのである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちょっと出る旅にも、大きやかな箱に納めて、一人分の資人(とねり)の荷として、持たせて行ったものである。其魂の書物を、姫の守りに留めておきながら、誰にも言わずにいたのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
兵部大輔(ひょうぶたいふ)大伴家持は、偶然この噂を、極めて早く耳にした。ちょうど、春分から二日目の朝、朱雀大路を南へ、馬をやって居た。二人ばかりの資人(とねり)が徒歩(かち)で、驚くほどに足早について行く。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
宮廷から賜る資人(とねり)・傔仗(たち)も、大貴族の家の門地の高さを示すものとして、美々しく著飾らされて、皆任地へついて行った。そうして、奈良の家には、その年は亦とりわけ、寂しい若葉の夏が来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)