買被かひかぶ)” の例文
ウソでないまでも、余り自分を買被かひかぶりすぎた自惚の言葉だ。君は膃肭獣おつとせい々々々と言はれて、独歩にひやかされてゐたではないか。
エンジンの響 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
すべて女といふものは、実世間の上にも、作物さくぶつの上にも、自分達を買被かひかぶつてゐるとか、見当違ひをしてゐるとかする人達を好くものなのだ。
知らないがためにある物を価値以上にめづらしがり、又はそこに達し得ないがためにその位置を非常に買被かひかぶつたりしたことはないだらうか。
自からを信ぜよ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
湯浅氏がモウパツサンに少しも肖てゐないやうに、誰も鎌田氏を読書人どくしよにんだと思ふものも無からうが、当人になつてみると、世間がそんなに買被かひかぶりをしてゐるらしく思はれるものと見える。