貴賓きひん)” の例文
ここの一閣へは、よほどな貴賓きひんでもないと案内されることはないし、重臣でもほんの、二、三の者しか知っていないということだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さわぐな。いよいよ今日は彼を貴賓きひんの間に入れることにしたから、こんどは大丈夫だ」
「みんなが、みんなそうでもあるまいが、——その時分に貴賓きひんの前に出るような遊女になると相当生活の独立性が保てたし、一つは年齢の若い遊女にそういうロマンスが多いですね」
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
デパートではおどろいて、貴賓きひん室に通し、支配人がもてなしをしました。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
狼狽を極めながら、宣教師の一人は先に教室へ走って、生徒達にこの唐突な貴賓きひんの参観を告げた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心から和盟わめいの成立を歓び、平和の客、春の貴賓きひん——として元康の一行を迎え合った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、権太夫はどこまでも、この貴賓きひんの気を損なわぬことが、お家の為と心得ている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、彼の人数の如きは、遥かしもの方にあって、町屋の軒端にたたずみ、主君の貴賓きひんが通る往来の馬糞ばふんを掃き取らせたり、野良犬を追ったり、辻のいましめに気を配ったりしているに過ぎないのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たいへんな貴賓きひんじゃ」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)