ばく)” の例文
人の夢をも食うばくのような一世の美婦人が生れ出て、後醍醐の深宮に住み、皇太子の生母として威をふるッていたのである。
「この野郎、云うにこと欠いては組の若い者が全滅たあなんだ、ばくがおとといの夢を吐きゃあしめえし、途轍とてつもねえことをほざくと向うずねをかっ払うぞ」
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「東京堂へいくと、詩集がたくさんありましてね。そこで、ぼくが、最初に買ったのが、ばくさんの詩集なんですよ。山之口貘。——って、感慨ぶかそうにいうんだよ」
日めくり (新字新仮名) / 壺井栄(著)
上野動物園でばくの夫婦をあらたに購入したという話を新聞で読み、ふとその貘を見たくなって学校の授業がすんでから、動物園に出かけていったのであるが、そのとき
ダス・ゲマイネ (新字新仮名) / 太宰治(著)
唯一つばくの食べる「夢」を知らないばかりさ。「夢」は彼等にとつて余りに上品すぎる。
夢にしてばくくわせよというようなさけなきなされ方
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)