訪問おとずれ)” の例文
もなく家財は残らず売払うりはろうて諸道具もなければ金もなし、赤貧せきひん洗うがごとくにして、他人の来て訪問おとずれて呉れる者もなし、寂々寥々せきせきりょうりょう
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
から、彼所あれから牛込見附うしごめみつけへ懸ッて、腹の屈托くったくを口へ出して、折々往来の人を驚かしながら、いつ来るともなく番町へ来て、例の教師の家を訪問おとずれてみた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「なんの、わしの訪問おとずれは、礼儀ではない。気まぐれじゃ。近頃、この所に、徐庶じょしょが仕えておると聞き、一見せんと、町まで来たついでに立ち寄ったのじゃが」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)