觀世縒くわんぜより)” の例文
新字:観世縒
觀世縒くわんぜよりで卷いて、生澁きしぶを塗つてありますから、ひどく特色のあるものですが、不思議なことに、大して血が付いては居りません。
「徳利へ毒を入れて、り替へたのも女だ。女に觀世縒くわんぜよりの上手なのは滅多にないものだ。商人の帳場に居る人間は、皆んな觀世縒は器用にこさへる」
「それから、あの觀世縒くわんぜよりは女結びになつて居た筈さ。武家が命がけの惡戯をするのに、觀世よりを女結びにするなんて、そんな悠長なことをするものか」
昨夜も別のたるで一升持つて行つて、觀世縒くわんぜよりで首を結へた徳利で、別にかんをさせて飮んで居たが、その徳利をり替へて、石見いはみ銀山の入つたのを呑ませた奴があるんです
前ぶれ通り、存分に野暮つたい四十五六の武家、羽織の紐を觀世縒くわんぜよりくゝつて、山の入つたはかま、折目高の羽織が、少し羊羹色やうかんいろになつてゐやうといふ、典型的な御用人です。
觀世縒くわんぜよりこさへてくれ、先をらして」