西念寺さいねんじ)” の例文
東京でも下谷金杉したやかなすぎ西念寺さいねんじに、眼洗めあらい地蔵というのがありました。それから鼻欠はなかけ地蔵だの塩嘗しおなめ地蔵だのと、面白い名前が幾らもありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鳴り出した西念寺さいねんじの十時の鐘の第一音にはじき出されるやうにお幸は橋を渡つてしまひました。一町程行くと右に文珠様もんじゆさまの堂があります。お堂は白い壁のへいで囲まれて居ます。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
て世捨人になったお若さんでげすが、伯父の晋齋に頼みまして西念寺さいねんじわきに庵室とでも申すような、膝をれるばかりな小家こいえを借り、此処こゝへ独りで住んで行いすまして居りまする。
しかし万国博覧会も例の日本人の空景気からげいきで金がない処からおじゃんになり、従って鮫ヶ橋も今日なお取払われず、西念寺さいねんじの急な坂下に依然としてはげちょろのブリキ屋根を並べている。