かけ)” の例文
「おかけは召ていないが、お振袖で、曙染あけぼのぞめで、それはそれは奇麗ですよ、お前さんに見せたいね。ほんと! 桜の花よりものいう花がきれいさ。」
それから立って、黒塗の箪笥からかけを出して女にせた。派手な竪縞たてじまのお召縮緬めしちりめんに紫繻子じゅすの襟が掛けてある。この中年増が所謂いわゆる番新というのであろう。女は黙って手を通す。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)