衝立つッた)” の例文
車屋との悶着を黙って衝立つッたって視ていた女が、其が済むのを待兼まちかねたように、此方こっちへ来いというから、其跟そのあといて玄関の次の薄暗いへ入ると
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
くしゃみもならず、苦り切って衝立つッたっておりますると、蝙蝠は翼を返して、ななめに低う夜着の綴糸とじいとも震うばかり、何も知らないですやすやと寐ている、お雪の寝姿の周囲ぐるりをば、ぐるり、ぐるり、ぐるりと三度。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、帰着点は分ったが、矢張やッぱり実行が困難だ。若い女を研究するといって、往来に衝立つッたっていて通る女に一々触れもされん。勢い私の手の届く所から研究に着手する外はない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)