血粘ちのり)” の例文
斬っても血粘ちのりが刃に着かず、鉾子先きっさきからタラタラと、滴るそうでございます。ダラリと刀を下げたまま、唇をわずかにほころばせ、美しい前歯を
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
左門が、乾児たちの死骸の中に立ち、もう血粘ちのりをぬぐった刀を鞘に納め、衣紋えもんをととのえ、腕組みをし、紙帳を見ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
然うだったのかい。滝の背後に金が隠してあるのかい、妾が、体の血粘ちのり洗おうと来たのを
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、右衛門は草をむしり、大鉞の刃へあてて、附いている血粘ちのりをぬぐった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
でも誰もが竹の杖の先の、血粘ちのりに気のついた者はなかった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)