血痰けったん)” の例文
この国へきてから、しばらく忘れていた血痰けったんが、胸のどこかに、時機を待って鬱滞うったいしているのではないかというような神経を起こしたりした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血痰けったんさえ出ない。病気の事なんか忘れてしまった。この「病気を忘れる」という事が、全快の早道だと、ここの場長さんが言っていた。少し変ったところのある人だ。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「からだを丈夫にしなけれゃ、いかんね。血痰けったんが出ているようじゃないか」
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
時たま夫婦喧嘩げんかみたいな事をはじめ、胸の病気のほうは一進一退、痩せたりふとったり、血痰けったんが出たり、きのう、テツにカルモチンを買っておいで、と言って、村の薬屋にお使いにやったら
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)