蜜柑畑みかんばたけ)” の例文
お庭の下には蜜柑畑みかんばたけがひろがり、それから村道があって、その向うは水田で、それからずっと向うに松林があって、その松林の向うに、海が見える。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
樽屋たるやの文六ちゃんの家は、みんなの家とは少しはなれたところにありました。ひろい、蜜柑畑みかんばたけになっている屋敷にかこわれて、一軒きり、谷地やちにぽつんと立っていました。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
このあたり一帯の山麓さんろくには名もないような古墳が群らがっているということを聞いていたので、それでも見ようとおもっていたのだけれど、どちらに向って歩いてみても、丘という丘が蜜柑畑みかんばたけ
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
其処には両側の蜜柑畑みかんばたけに、黄色い実がいくつも日を受けている。
トロッコ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
君は南国の蜜柑畑みかんばたけに舞い降り、そうして、この少年たちは上野公園に舞い降りた、ただそれだけの違いなのだ、これからどんどん生長しても、少年たちよ、容貌ようぼうには必ず無関心に、煙草を吸わず
美男子と煙草 (新字新仮名) / 太宰治(著)