蜘蛛太くもた)” の例文
もう追ッつけ来る時分だ……手はずをきめておかなくっちゃいけねえ、蜘蛛太くもた、てめえはがらが小さいから人目につかなくっていい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「盗賊は、まだつかまらぬか。はて、のろまな警吏やくにんだ」と、後ろへ供につれているわっぱのような小男——蜘蛛太くもたを顧みてにやりと笑っていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あろうことかあるまいことか、年景の召使で、蜘蛛太くもたという侏儒こびとと、わたくしが、不義をしているなどと云いふらすではございませぬか
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火旋風ひつむじと共に走り出して来たのを見ると、それは不死人が都から連れて来た手下の禿鷹はげたか蜘蛛太くもた、穴彦などという一連の出没自在な剽盗ひょうとう仲間であった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仲間同士で呼びあっている名前にしても、八坂やさか不死人ふじとを始めとして、禿鷹はげたかだの、毛虫郎けむしろうだの、保許根ほこねだの、穴彦だの、蜘蛛太くもただのというだけで、これにも職業のにおいはない。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)