蛮夷ばんい)” の例文
旧字:蠻夷
この宮様は婿君むこぎみ(十四代将軍、徳川家茂いえもち)への引き出物として、容易ならぬ土産みやげを持参せらるることになった。「蛮夷ばんいを防ぐことを堅く約束せよ」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
日本を神聖の地とし異国人を蛮夷ばんいとする、しかもその言葉の内容は検討されたものではなくて、多くはそう云うこと自体のうちに満足を感じている
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼らは、たとい戦慄せんりつと恐怖とをもってしてであろうとも、人類をしいて楽園のうちに押し入れることを欲した。彼らは蛮夷ばんいであるかのようだったが、実は救済人であった。
南方の蛮夷ばんいへも西涼の胡夷えびすへも輸出し、蜀錦しょっきんに限っては、敵たる魏や呉へ売り出すことにも、多大な便宜を与えて、それに代るべき重要な物資をどしどし蜀内へ求めていたという事実に見ても
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本を神州とい、海外諸国を挙げて蛮夷ばんいであるとする態度、全篇を掩っているこうした理性を欠いた表現は人を誤ります、……藤田先生にはずいぶん多く教えられましたし
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)