蚊帳がや)” の例文
入れて下さい! とばかりに、お百姓夫婦の眠っている、破れ蚊帳がやの中へ、飛び込んだ。お百姓は裸体ぱだかで、フンドシ一つで眠っている。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
清三は一円五十銭で、一人寝の綿蚊帳がやを買って来て、机をその中に入れて、ランプを台の上にのせて外に出して、その中で毎夜遅くまでほんを読んだ。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
この暑さに、色もてたボロ蚊帳がやの中で、藤兵衛は裸で寝ていた。むっくり、ひじを起して
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱実は熱ッぽい顔をよけいにあからめて恥じるように、紙蚊帳がやふすまを、その顔へかぶった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)