虫気むしけ)” の例文
旧字:蟲氣
其の言には、政宗今日夕刻よりにわか虫気むしけまかり在り、何とも迷惑いたし居り候、明日の御働き相延ばされたく、御先鋒さきつかまつり候事成り難く候、とあるのであった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほどなく古河こがへ嫁入りしたが、間もなく身重になり、その翌年の秋虫気むしけづいて、玉のような男子を産み落したが、無残や、産後の日だちが悪く、十九歳を一期として
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
四歳の春に弟が生まれて、自然に母の愛情注意も元ほどでなく、その上にいわゆる虫気むしけがあって機嫌きげんの悪い子供であったらしい。その年の秋のかかりではなかったかと思う。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
生れた子供も男で伊之助のいの字とお若のわの字を取って岩次いわじと名をつけ、虫気むしけもなくておい/\成長してまいるが、子供ながら誠に孝心が深いので夫婦も大層喜んでいました。
「ちと、虫気むしけでございましょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)