虚言そらごと)” の例文
斉信がある時「そぞろなる虚言そらごと」を聞いて彼女をひどくののしったことがある。「どうしてあんなやつを人と思ったろう」とさえ人前で言ったというのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
何故虚言そらごとを言ッたか自分にも解りかねる。お勢は座に着きながら、さして吃驚びっくりした様子もなく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見たものの話でござりますが、これを一目の時、震え上って、すぐに地震、と転倒てんどういたしましたそうで、ここで誰も大地震の前触まえぶれを、虚言そらごととは思いませんようになりました。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「わたしが何ンの虚言そらごとを言いまッしょうか。本当しょうのことでござります」
今時の師学とも生死岸頭しょうじがんとうに於て遊戯し、荊棘林中に大自在を得る等と、当土なしの虚言そらごとを吐て、又傍には不立文字不言句上、無義無味無文無句、公案は参ずるのみ、義解して講ずべからず
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)