蕨縄わらびなわ)” の例文
上の台は、尋常に黒くいたし、辮髪べんぱつとか申すことにて、一々蕨縄わらびなわにてぶらぶらと釣りさげ候。一ツは仰向き、一ツは俯向うつむき、横になるもあれば、縦になりたるもありて、風の吹くたびに動き候よ。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黒き蕨縄わらびなわ着けたる提灯と、竜の口なる五条の噴水と、銅像と、この他に今も眼にみ、脳に印して覚え候は、式場なる公園の片隅に、人を避けて悄然しょうぜんと立ちて、さびしげにあたりを見まはしをられ候
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)