蔦紅葉つたもみじ)” の例文
その上から黄色の葉が、ぱらぱらと午後の陽に輝きながら散りかかった。渋色の樹肌きはだには真っ赤な蔦紅葉つたもみじが絡んでいた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
途端に、どどどっと押し上がり駈け入り、武者草鞋わらじまきの火を踏み散らして屋内へ分れた。その後はもうここかしこ蔦紅葉つたもみじのように柱やふすまを這う火であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大木の常磐木ときわぎへおもしろくかかった蔦紅葉つたもみじの色さえも高雅さの現われのように見え、遠くからはすごくさえ思われる一構えがそれであるのを、中納言も船にながめて
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
誰が掃き清めたのやら、神社の境内は、きれいに箒目ほうきめすら見えていた。さしもの修羅しゅら狼藉ろうぜきのあとも掻き消され、そこに見えるのは寂とした中の蔦紅葉つたもみじと杉木立の青い仄暗ほのぐらさだけであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)