葉雞頭はげいとう)” の例文
本堂の前の庭に大きな芭蕉の、きばんだ葉の垂れさがった下に白い野菊の花が咲きみだれ、真赤な葉雞頭はげいとうが四五本、あやうげに立っていた。ある年のある日に試みた散歩の所見である。
枯葉の記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
庭先の雞頭けいとう葉雞頭はげいとうにさへ霧かかりて少し遠きは紅の薄く見えたる、珍しき大霧なり。余は西枕にて、ガラス戸にやや背を向けながら、今母が枕もとに置きし新聞を取りて臥しながら読む。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
かくれ住むかどに目立つや葉雞頭はげいとう
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)