華奢はで)” の例文
華奢はでな、娑婆っ気の強い人だっただけ、唄の師匠は来る、芸妓は来る、役者は来る、始終うちのなかが賑やかだったのである。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
筒袖つゝそできはめて質朴な風采ふうさいで、華奢はでな洋行帰の容子ようすとは表裏の相違ぢやありませんか、其晩の説教の題は『基督キリストの社会観』といふのでしてネ、地上に建つべき天国につい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その夜は寝てもただ一目見し森の少女おとめの恋しくも、夢に見え、幻となりて時々目に浮ぶのである。何処の者ぞ……名は何と云うぞ。してその姿のしくも華奢はでやかに装いつるかな。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
売れるさかりの華奢はでをきわめた人気ものだけに……それには、そうした、あたりまえでない、世間の眼をみはらせた最後だけに、同情だの憐憫だのおせッかいだの
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)