若水わかみず)” の例文
欄を濡らしている涙の下は、元日の明るい陽を燿々ようようと乗せて、無限の希望へかがやいて行く若水わかみずのせせらぎであったが。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うるわしきすみれの種と、やさしき野菊の種と、この二つの一つを石多く水少なく風つよく土焦げたる地にまき、その一つを春風ふきかすみたなびき若水わかみず流れ鳥蒼空あおぞらのはて地にるる野にまきぬ。
詩想 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「では、はや元日か。さても、おもしろい年を越えたな。今年は初春はる夢占ゆめうらもよからん気がするぞ。なあ右馬介、もう寝るまもあるまい。宿所へ戻って、若水わかみずでも汲むとしようよ」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)