芳捨ほうしゃ)” の例文
もう町は師走しわすに入っていた。年暮くれの忙しさ。その中を、金春流こんぱるりゅうの素謡の節を、浮世離れた悠長さにながしてゆく。——が、とがめる者もなく、また、芳捨ほうしゃの銭も、まれにしか、彼の扇子に乗らなかった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)