花車かしゃ)” の例文
もとより巨額の公債を有し、衣食に事欠かざれば、花車かしゃ風流に日を送りて、何の不足もあらざる身なるに、月の如くそのかんばせは一片の雲におおわれて晴るることなし。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肩技かたわざ、背技、膝技から、尖飛せんぴ搭舞とうぶノ法などと呼ぶ五体十部の基本の上に、八十八法の細かい型があって、飛燕ひえん花車かしゃ龍鬂りゅうびん搏浪はくろう呑吐星どんとせい、などさまざまな秘術もある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひでりがすれば格別、主ある女房にいい寄って、危い思いをするよりも宮川町の唄女うたいめ、室町あたりの若後家、祇園あたりの花車かしゃ、四条五条の町娘、役者の相手になる上臈じょうろうたちは、星の数ほどあるわ。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)