致命的フェータル)” の例文
江戸川縁えどがわべりに住んでいる啓吉けいきちは、いつものように十時ごろ家を出て、東五軒町ひがしごけんちょうの停留場へ急いだ。かれは雨天の日が致命的フェータルきらいであった。
死者を嗤う (新字新仮名) / 菊池寛(著)
今度のこの失敗たるやいよいよもって私にとっては致命的フェータルなものたることを如実に示してきたのであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
誰かから抑へられると、その二倍も三倍もの烈しさで、はね返したいやうな気になるのです。それが、わたしの性格の致命的フェータルな欠陥かも知れません。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
やかた三浦右衛門みうらうえもんをよくも手込めにあわせおった」という致命的フェータル独言ひとりごとをいった。
三浦右衛門の最後 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それは、自分でもうともすることが出来ない性分です。誰かから抑えられると、その二倍も三倍ものはげしさで、跳返はねかえしたいような気になるのです。それが、妾の性格の致命的フェータルな欠陥かも知れません。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)