膝懸ひざかけ)” の例文
手提鞄てさげかばん膝懸ひざかけ細捲ほそまきとを持って、停車場ステーションまで見送の小僧を一人つれて、ふらりと出ていって了った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
座敷の床の間へ寄せ、北を枕にして、蓮太郎の死体の上には旅行用の茶色の膝懸ひざかけをかけ、顔は白い帕布ハンケチおほふてあつた。亭主の計らひと見えて、其前に小机を置き、土器かはらけたぐひも新しいのが載せてある。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)