脈所みゃくどころ)” の例文
やがて芳芬ほうふんの激しい薬滴が布の上にたらされた。葉子は両手の脈所みゃくどころを医員に取られながら、そのにおいを薄気味わるくかいだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そしてそれと同時に呼吸をぐっとつめて、心臓とおぼしいあたりにはげしく力をこめた。古藤はすき通るように白い手くびをしばらくなで回していたが、脈所みゃくどころに探りあてると急に驚いて目を見張った。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)