肝腎要かんじんかなめ)” の例文
肝腎要かんじんかなめの茂右衛門の行き方が、きまらいでは相手のおさんも、その他の人々もどう動いてよいか、思案の仕様もないことになる。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「折角、日本左衛門という大きな獲物えものが、わなに掛るか掛らないかとしている、肝腎要かんじんかなめな危機一髪です」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、ある極めて偶然な幸運がなかったら、到底完成することができなかったほどの難問題なのだ。つまり、この考案の肝腎要かんじんかなめの部分は、わしの頭の中だけにあるのだよ
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
心経の二字について 次に『心経』ということでありますが、ここで「心」というのは、真髄とか、核心とか、中心とか、いったような意味で、つまり肝腎要かんじんかなめということです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
つまりいやが応でも兇器を発見して、その兇器から当りを付けて行かなければならない事になって来たが、その肝腎要かんじんかなめの兇器が、事件発生以来どうしても見付からないのには弱らされたね。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
祖父の物語でいちばん肝腎要かんじんかなめなところは、祖父が生涯に一度も嘘をつかなかつたといふ点で、祖父が物語るかぎり、それはまさしくこの世にあつた正真正銘まことの話に違ひなかつたのぢや。
すでに私は『心経』の肝腎要かんじんかなめとなっている、いや、仏教の根本思想であるところの「色はすなわち是れ空、空は即ち是れ色」(色即是空、空即是色)ということについて、一応お話ししておきました。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)