耳語じご)” の例文
背後を顧みて周囲のものと何か耳語じごしていたが、やがて今度はその周囲のものが進み出てきて話し掛ける。入れ替ってまた他のものが話し掛ける。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
の刻を過ぎてから、保さんは母と姉とに連れられて伊沢の家を出て帰り掛かった。途中で若党清助が迎えて、保さんに「陣幕が負けました」と耳語じごした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此時、聴衆の頭上を飛ぶが如くにけ来れる一警部が、演壇に飛び上がつて、何事か警視に耳語じごせり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
微動する自然の耳語じごを気付かない人である。そしてまた第四階級の文学は労働者自身によって企てられるものだとは限らない。むしろ文学が労働服を着るところに意義を見る。
第四階級の文学 (新字新仮名) / 中野秀人(著)
彼一日聖殿みや頂上いただきに登り、眼下に万人の群集するを見し時、悪霊再び彼に耳語じごしていわく
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
細君が、ふと、時雄に耳語じごした。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
余の敵は余の不幸を快とせり、悪霊あくれいこの機に乗じ余に耳語じごしていわく
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)