老眼鏡ろうがんきょう)” の例文
不思議だから、『これは何ういう眼鏡ですか?』と訊いたら、『老眼鏡ろうがんきょうの弱いのです』と答えて笑っているじゃないか?
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ま、ひとのことにして、おまえだってすすんでなったじゃないか。お母さんの二のいふみたくないって。まったく老眼鏡ろうがんきょうかけてまで、ひとさまの裁縫さいほうはしたくないよ」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
もっともこの話に興味を持っていたのはわたしよりもむしろ「な」の字さんです。「な」の字さんはカメラをぶら下げたまま、老眼鏡ろうがんきょうをかけた宿の主人に熱心にこんなことをたずねていました。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まくらそばにある老眼鏡ろうがんきょうは、いつまでも黒いさやに納められたままであった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この奥さんは僕を見ると、老眼鏡ろうがんきょうをはずして挨拶あいさつしました。
手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)