羽掻はが)” の例文
声をかけるとほとんど同時に、山県紋也は身を躍らせたが、背後から若い武士を羽掻はがい締めにして、ズルズルと小家から引き離した。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、つぎの瞬間には、児太郎は、大きな弥吉のからだを羽掻はがい責めに抱きすくめ、馬刺剣は、その×××××××られた。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
梶川かじかわ与惣兵衛よそべえだった。大力の人で、すっかり羽掻はがめに、うごきが取れなかった——吉良は、身をゆすぶった。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
雞も手品師の手で、羽掻はがひを抑へられた時は、けゝと鋭い声を揚げただけで、彼の手から卓上に置かれた時はもう首をだらりと伸ばしたまゝ横になつて了つた。
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
そうして女は夜もすがら、池に水鳥が寝わずらって羽掻はがいているのを耳にしたりしていた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)