羞恥家はにかみや)” の例文
自分はすでに院内をぶらぶらするほどに回復した彼が、なぜ「あの女」のへやへ入り込まないかを不審に思った。彼はけっして自分のような羞恥家はにかみやではなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さもないと羞恥家はにかみやの大塚博士が顔をあかくしてきまりを悪がるかも知れないから。
母は自分のいう事に耳を借さなかった僕を羞恥家はにかみやと解釈して、再び時期を待つもののごとくに、この問題をふところに収めた。羞恥は僕といえども否定する勇気がない。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大学教授は愈々いよ/\結婚を申し込まなければならぬ順序となつたが、残念な事には、この学者は内気な、羞恥家はにかみやで、他人ひとの書物に書いてある事を紹介する折にも顔をあかめないではられない程だつたから