縫子おはり)” の例文
「わたくし、有明荘の下に住まっております縫子おはりの花でございます。御注文の御訪問着を持参いたしましてございます。それから、ちょっと……」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「とめ婆の話では、鶴子は崖下の素人屋しもたやにいる花という縫子おはりにいつもしみじみ身上話をしていたといったナ。……ひとつそのあまを叩いて見るか」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは有明荘の崖下の素人屋しもたやの二階に住む花という美しい縫子おはりで、その夜自分の窓から有明荘の事件を何もかも見ていた、と意外なことをいい出すところで惜しくも前回の終りになっていた。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)