緑地みどりぢ)” の例文
私は其の頃、墓地と寺とに近く重に美術學生の泊つてゐる谷中やなか素人下宿屋しろうとげしゆくやに住つて居た。雨の音、雨の音。は實に靜であつた。ランプの火は緑地みどりぢの羅紗を敷いた机の上に穩な光を投げてゐる。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)