おいかけ)” の例文
彼の烏帽子には縁もなく矢車のおいかけも着いてはいず、彼は粗末な布地退紅の狩衣にはなだ色の短いはかまをはき、ただ鮫皮を張った柄に毛抜の飾りのついた蒔絵まきえづくりの太刀
(新字新仮名) / 山川方夫(著)
一方は、背にえびらを負い、弓をもち、左大臣の扮装をした興世王である。もう一人は、不死人で、これも、おいかけを付けた冠に、右大臣の装束をつけ、太刀を佩いて、を長く曳いていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貞室の『かたこと直し』慶安三年印本においかけを鍋とりという事いかがと制したれど
色紙短尺に歌を書くよりほかには能のない、又はおいかけをつけて胡籙やなぐいを負うのほかには芸のない、青公家あおくげばらや生官人なまかんにんどもとは違って、少納言入道信西は博学宏才を以って世に認められている。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)