紐帯ちゅうたい)” の例文
この「脅迫的教書」は、「ことのなりゆきでは、アメリカ大陸とヨーロッパ列強との紐帯ちゅうたいが、断ち切られるのは遠くない」
黒田清隆の方針 (新字新仮名) / 服部之総(著)
眼に映る山襞が胃の内部にまで縛りつづいて来ているように見える、ある何かの紐帯ちゅうたいを感じる刻刻の呼吸で、山波の襞も浸蝕されつつあるように痛んで来る。
茶を飲むために止ると必ず集って来て、私の肩の上にある不思議な紐帯ちゅうたいにさわって見たり、検査したりする。
主君邦夷を中心にしていた家臣の一団が、そのとき、紐帯ちゅうたいを断たれ、個々ばらばらにきり離されたのである。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
いかんせん山陰山陽とも敗軍をつづけているばかりか、信長を孤立せしむべく計ったあらゆる紐帯ちゅうたいの要所要所はことごとく彼のために破砕されてしまったかたちである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしまた、事ここに到っては、再びその紐帯ちゅうたいにたよって——つまりはその関係を利用することによって、刻下の危機をきりぬけねばならぬところまで来ていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ひとりは、張飛の腰の紐帯ちゅうたいをつかんだ。他の関門兵は、槍をそろえて向けた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心の紐帯ちゅうたいが断たれつつあると思われる、われら先達するものの不明が今に於いて罰せられつつある、あなたは奔命に寧日なく、家中のものの心根に通じてはいない、身どもら
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)