糧秣廠りょうまつしょう)” の例文
さてはまた、金沙灘きんさたんその他の水軍部、造船廠、醸造局、縫工班ほうこうはん糧秣廠りょうまつしょう、諜報機関、楽手寮がくしゅりょうなど数えていったら限りもないほどである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二男賛次郎は大戦中陸軍大尉の資格で糧秣廠りょうまつしょうに通っていたが、疲労のため昭和十九年四月八日病没。長男庸太郎も三十三年三月十四日に病いで失った。
僕は昔この辺に糧秣廠りょうまつしょうのあったことを思い出し、更にその糧秣廠に火事のあったことを思い出し、如露亦如電という言葉は必ずしも誇張ではないことを感じた。
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その翌々日、こんどは広島の大空襲だといううわさがパッと拡った。上田が夕刻、糧秣廠りょうまつしょうからの警告を順一に伝えると、順一は妹をかして夕食を早目にすまし、正三と康子を顧みて云った。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
あます所は燕麦からすむぎがあるだけだったが、これは播種時たねまきどきから事務所と契約して、事務所から一手に陸軍糧秣廠りょうまつしょうに納める事になっていた。その方が競争して商人に売るのよりも割がよかったのだ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)