粟津あはづ)” の例文
輝かしき凡人にてはあらざりけり元暦げんりやく元年の春の雪粟津あはづの原に消えたれど首は六條の河原にさらされかばねは原にうづめたれど名は末代に殘りけり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
粟津あはづが原の習々たる青嵐も今日のごとく電車の響のためにその自然の諧音を亂されなかつたであらう。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
男と常陸の妻のうからと、——彼等は京へはひる途中、日がらの悪いのを避ける為に、三四日粟津あはづに滞在した。それから京へはひる時も、昼の人目に立たないやうに、わざと日の暮を選ぶ事にした。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
木曾がやかたの跡なればなりと土人今にして木曾樣義仲樣とうやまふ木曾が城跡といふは高き山ならねど三方山にて後に駒ヶ嶽聳へ前に木曾川ありこゝきたる道東よりするも西よりするも嶮岨の固め諸所にあれば義仲粟津あはづの戰塲を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)