筋違御門すじかいごもん)” の例文
昌平橋と筋違御門すじかいごもんとの間の加賀原かがっぱらという淋しいところへ来ると、向うから数多あまたの人と提灯ちょうちん、どうも役人らしいので与八も困って前後を見廻すと
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今度は、わりに長く江戸にとどまっていて、神田筋違御門すじかいごもんぎわの修理太夫の下屋敷から、こうして三日に上げず、この惣平次の番所へ遊びに来るのである。
最初は、その自白も疑ってみたが、彼の掏児すりであることは、いくらでも証拠だてられた。また、筋違御門すじかいごもんで編笠の侍から掏り盗ったという紙入れまで、そこへ、吐いて見せた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに筋違御門すじかいごもんの前まで来た。そこはまた交叉路こうさろでまた人通りが混んでいる。編笠の侍は、目の前を突ッ切る四ツ手駕をやり過ごして、ついと、燕のように、向う側へ駈け出した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)