竣工でき)” の例文
そこで白湯さゆを一碗のむと、親鸞は、もう八分どおりまで竣工できかけている伽藍がらんの足場の下まで行って
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宝町の三井では、建築たて増しの竣工できた祝いと、新開きの西店の売出しとで、一町内に、紅白の幕を張り、紺の暖簾のれんに、花傘を植えならべて、屋根の上から、餅をいていた。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの座敷に寝ころんで見たら、房総ぼうそうの海も江戸の町も、一望ひとめであろうと思われる高輪たかなわ鶉坂うずらざかに、久しくかかっていた疑問の建築たてものが、やっと、この秋になって、九分九厘まで竣工できた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本橋は、竣工できてからまだ一年も踏まれていなかった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)