稠坐ちゅうざ)” の例文
無事に下山して来て、日に焼けた紫外線光背面を衆人稠坐ちゅうざの中にツン出し、オイどうだ! と得意な一喝を与えたものだ。
登山は冒険なり (新字新仮名) / 河東碧梧桐(著)
「ただ議論の争いならいいが、周都督ときては、口汚なく、衆人稠坐ちゅうざの中で、人を辱めるから怪しからん。……不愉快だ。実に、我慢がならぬ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼れ人に対して真率しんそつみだりに辺幅を飾らず、しかれども広人稠坐ちゅうざうちおのずから一種の正気、人を圧するものありしという。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
諸侯の稠坐ちゅうざしている溜りの方へ向って、大声に、わめいて捨てたのである。武士にとって最大な良心である恥辱という忍び得ないものが、内匠頭のあたまを焼金のように貫いた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)