秩祿ちつろく)” の例文
新字:秩禄
徳川幕府も天下を取つた當時などは、權力を確立することに急で、創業早々大小名を取り立て過ぎ、秩祿ちつろくをやり過ぎました。
秩祿ちつろくを加へられる度數の多いので、心あるものは主家のため、領國のために憂へ、怯懦けふだのものは其人をおそはゞかり、いやしいもの、よこしまなものは其人にたよつて私を濟さうとするやうになつた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
家事不取締といふことで、輕くて秩祿ちつろくの何割かむしり取られ、重ければ取潰しといふ憂目にも逢はないものでもありません。
言ふまでもなく、徳川幕府の綱紀も次第に紊れて、旗本御家人はその借金の始末などのために、養子名義で金持の町人の子を容れ、事實は家名や秩祿ちつろくの賣買をしたことはあまりにも有名なことです。