秋蚕しうさん)” の例文
旧字:秋蠶
今次の応召家族の間には、はき立てた秋蚕しうさんを棄てた家もあつた。秋の穫入とりいれを老母と、産後の病妻とに託さねばならなかつた人もあつた。
野に蕭殺の兆ありて客心を痛ましめ、夜頃を宿のほとりに、我は秋蚕しうさんの匂ひあるなかをさまよひぬ。また室に帰りて怠りて弓臥するに、時はなほ衣手のうすきを喞つに早けれども——。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)