禅定寺ぜんじょうじ)” の例文
旧字:禪定寺
「お綱ッ。そちはお千絵どのを助けて、禅定寺ぜんじょうじの峠へしばらく姿を隠しておれ。早く行け、お千絵どのをつれてこの場を退け!」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、ちょうど同じこの禅定寺ぜんじょうじ峠で、去年の夏——お千絵様を! と合掌して落命した唐草銀五郎からくさぎんごろうに対しても、破誓はせいの罪がないだろうか。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禅定寺ぜんじょうじ峠の上から、弦之丞げんのじょうと西東に立ち別れ、一足先に江戸へ入った万吉は、まだ何かの都合で、お千絵ちえ様にも会ってはいないらしかった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
場所は、大津の禅定寺ぜんじょうじ峠。——それがしもまたその時に、阿波の侍のために捕われて、とうとうここへ送られてまいった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お千絵をかどわかしたのも旅川のがねであったと見える。おお、しかも明日は、禅定寺ぜんじょうじで待ちあわせて」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その待ちに待っている唐草銀五郎が、すでに、禅定寺ぜんじょうじ峠の土になっているとは、夢寐むびにも知らぬのであった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半日の道づれを捨てるのも、何か名残惜しそうに、一人をらして四人になった道者たちは、コトン、コトン、と杖の音を淋しくさせて、禅定寺ぜんじょうじの峠を下りにかかって行く。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禅定寺ぜんじょうじ峠の上で、あえない死を遂げた唐草銀五郎からくさぎんごろうの真心にうごかされて、初志をひるがえした弦之丞は、まず、安治川の蜂須賀家の様子をほぼ見届け、阿波守が帰国する船出までを確かめて大急ぎに
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)