碧色あおいろ)” の例文
天はあくまで碧色あおいろで、地は涯ない白さであった。それでも万一のために乾飯ほしいいを腰につけ、磁石を前帯にはさんでいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
空気はすきとおって碧色あおいろをしていました。背景にはベスビオの山が黒々とそびえていて、そこから噴きでる火は笠松かさまつの幹のように立ちのぼっていました。
身体からだも大きく、心持も大人おとなびて居りますが、信子はまだほんの十六になったばかり、可愛らしい円顔まるがおにお河童かっぱで、碧色あおいろの勝った、更紗さらさボイルの洋服も、又なくハイカラですが
天才兄妹 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
風は弱くなったが、九月といえばもう海の荒れだす季節で、濃い碧色あおいろのうねりが高く沖のほうにも白い波がしらが頻りに立ち、汀は絶えず砕け散る波のあわで、雪白にぎらぎらと輝いていた。
雨の山吹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)