石造せきぞう)” の例文
先生の覚悟は生きた覚悟らしかった。火に焼けて冷却し切った石造せきぞう家屋の輪廓りんかくとは違っていた。私の眼に映ずる先生はたしかに思想家であった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
崩れかかったような細い石造せきぞうの階段がきていよいよ例のパチノ墓穴に入ると、そこには急設きゅうせつの電灯が、煌々こうこうと輝いて金貨散らばる洞窟どうくつの隅から隅までを照らし、棺桶の中の骸骨がいこつ昨夜さくやそのまま
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
空濠からほりにかけてある石橋を渡って行くと向うに一つの塔がある。これは丸形まるがた石造せきぞうで石油タンクの状をなしてあたかも巨人の門柱のごとく左右に屹立きつりつしている。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)