眩暈めま)” の例文
それをしも押しのけて、自らによって他を焼き尽そう情熱、自分はまたしても眩暈めまいがした。裂けた。息を吹き返して気が付いたときに、自分は醜い姿に壊れていた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
娘はさすがに極りが惡かつたものか、床の上へ起き直らうとしましたが、眩暈めまひでもしたものか、あわてて前褄まへづまを掻き合せて俯向うつむきになつてしまひました。どこかひどく痛む樣子です。
矢代は列車が次第に膨れてゆくように見え、身体が凄い渦の中に吸い込まれて流れるような眩暈めまいを感じた。絶えず潮騒に似た音が遠くから聞えて来ているくせにあたりが実に静かだった。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
と瞬間眩暈めまいをしたような儀右衛門を、にこりと見て
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
心臓がむずがゆくなるような白熱の明るさです。あゝ、また其処を見る眼が身に伝えて来て袂の端に重たく感じる。わかれて来た男の二本の腕の重み。それを振り切ったときのかすかな眩暈めまい。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
心臓がむず痒くなるような白熱の明るさです。あゝ、また、其処を見る眼が身に伝えて来て袂の端に重たく感ずるわかれて来た男の二本の腕の重み。それを振り切ったときの微かな眩暈めまい。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)