眩々くらくら)” の例文
武松は半ば眩々くらくらとしたまま、ぷいと戸外そとへ飛び出してしまった。やや我に返っていたのは、外の風に吹かれてからのことである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途端に私は、眼の前が眩々くらくらっとした。どこをどう走ったのか、家まで駈けている道が私にはわからなかった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
あの冷たいまでに艶美な妻が、あろうことかあるまいことか! そんなけがらわしい真似をしていると考えると、眼の前が真っ暗になったような気持がして、思わず私は眩々くらくらっとした。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)