真清水ましみず)” の例文
旧字:眞清水
どんな極悪といわれる人間にも、古井戸のようなもので、悪い水をみ尽せば、やがて底のほうから真清水ましみずが湧いてくる例を、幾たびも見ているからである。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋ちょう真清水ましみずをくみ得てしばしは永久とこしえの天を夢むといえども、この夢はさめやすくさむれば、またそのさびしき行程みちにのぼらざるを得ず、かくて小暗おぐらき墓の門に達するまで
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ついに再び第二のオーシスに行きあうことなく、ただむなしく地平線下に沈みうせぬるかの真清水ましみずおもうのみ、げにしかり、しかしてわれ今、しいて自らこのオーシスに分かれんとす
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
腐敗しきった数百年の濠水ほりみずの底にも、なお一脈の真清水ましみずれていなかった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)