癇癪持かんしゃくも)” の例文
才人は才にたおれ、智者は智に敗れ、苦沙弥君のような癇癪持かんしゃくもちは癇癪を利用さえすればすぐに飛び出して敵のぺてんにかかる……
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それとまた一方に、一茶を皮肉屋の親玉のように見ている人もあります。つむじ曲りの、癇癪持かんしゃくもちの、ひねくれ者のように見ている人もあります。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
話によると布施は江戸邸の次席家老、半三郎はその一人息子だそうであるが、剣術と柔術がなみ外れて強く、おまけに癇癪持かんしゃくもちで、いつも喧嘩けんかばかりして始末におえない。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「心配もしますわ、どこへいらしっても折合おりあいがわるくっちゃ、おやめになるんですもの。私が心配性なら、あなたはよっぽど癇癪持かんしゃくもちですわ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長兄の和兵衛わへえは短気だし、次兄の林二郎りんじろう癇癪持かんしゃくもちで、二人はたえまなしに喧嘩けんかしていた。おもしろいのは父の元右衛門もとえもんも強情で一徹だったから、しばしば喧嘩は三人に発展する。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)